*2017 年2 月23日に発表されたプレスリリースの抄訳です。

UCSDとタワージャズ、データレート12Gbps超、クラス最高の5Gモバイル送受信チップの性能を実証

28GHz帯域のライセンス取得に向け、FCCの計画をデザインターゲットに

10億ドル規模の新たな5G市場に対応するフェイズドアレイ技術が提供可能に

米カリフォルニア州ニューポートビーチおよびサンディエゴ、2017年2月23日 – グローバルスペシャルティファンドリリーダーのタワージャズと、マイクロ波、ミリ波、ミックスドシグナルRFIC、フェイズドアレイでリーダーとして認識されているカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)は、12Gbps超の5Gフェーズドアレイチップセットのデモを初めて実施しました。このチップセットのデモは、世界の次世代モバイル通信規格である5Gを満たす製品がすでに製造可能であることを証明しています。このチップセットは、米国連邦通信委員会(FCC)が公開を予定している新たな通信帯域である28~31GHzで動作します。このチップセットは、タワージャズで量産実績のあるSiGe BiCMOSテクノロジーを採用しており、28GHz帯域での記録的なパフォーマンスを示し、データレートは4G LTEの10倍以上に向上し、これから立ち上がってくる5G規格に必要となるその他の技術的仕様を満たしています。

5Gの現状と最近の発表

  • 2016年7月、FCCは5G(第5世代)無線規格の合意に先立ち、市場に新たな周波数帯域を割当てる計画を発表しました。これには、ライセンス周波数帯域の28GHz周辺および37~40GHz、ならびにアンライセンス周波数帯域の64~71GHzが含まれます。
  • 最近のレポート(2017年1月)によると、5G通信は2035年に12兆ドルの経済効果を生む可能性があり(IHS Markit社調べ)、また、米国での5G導入にあたり今後7年間で2750億ドルのインフラ投資がおこなわれる可能性があります(CTIA/アクセンチュア社レポート)。
  • 5Gの規格は未確定であるものの、複数の世界的な大手通信サービスプロバイダーは、4G規格でのデータレートが100Mbsから最大1Gbpsであるところ、5Gではデータレートが1~10Gbpsになると予想しています。
  • 世界各地で5Gのデモが始まっています。Verizon社は、28GHz帯域を用いて米国で5Gの早期試運用をおこない、2017年に「ある程度の商業化を達成」すると発表しています。

5GチップセットおよびH3プロセスについて

今回発表された5G送受信チップセットは、二重偏波方式を用いて、通信距離30メートルでデータレート12Gbps以上、同300メートルで3Gbps以上を達成しています。UCSDのチップは、これらのデータレートを達成するために16-64-256QAM(Quadrature Amplitude Modulation/直角位相振幅変調)を使用しています。受信データの質を定義する性能指数であるエラー・ベクトル振幅(EVM)の測定では、いずれのチップセットもすでに4G LTEレベルの性能を示しています。今回発表された12Gbpsの64QAMリンクは、通信距離30メートルでEVM5%未満を達成しています。3Gbpsの16QAMリンクは、すべての場合でFEC(前方誤り訂正)や等化技術なしで、全走査角度において、300メートルでのEVM12%未満を達成しています。このシステムは二重偏波方式で動作しています。また、4 x 8(32エレメント)のフェイズドアレイは、SiGeコアチップを用い、アンテナと共に多層プリント基板に組み立てられています。雑音指数(NF)、実効輻射電力(EIRP)、EVMなどで記録的な性能指数が示されています。

全米技術アカデミーの会員であり、カリフォルニア大学サンディエゴ校ジェイコブス・スクール・オブ・エンジニアリングのディスティングイッシュトプロフェッサーで、無線通信業界チェアのGabriel Rebeiz教授は次のように述べています。「タワージャズのH3プラットフォームは実にすばらしく、28GHzで、20%という高い電力付加効率(PAE)による、エレメントあたり13~20dBmの送信電力を実現することが可能です。また、非常に低ノイズのトランジスタにより、28 GHzでNF 2.4 dBのLNA、High-Qインダクタ、および低損失伝送線路を実現しています。

大学院生のKerim Kibaroglu氏とポスドクフェローのMustafa Sayginer氏が率いるUCSDの設計チームは、タワージャズのSiGe BiCMOSテクノロジーを用いることで、8195A任意波形発生器、DSOS804Aデジタルスコープ、VSAソフトウエアを備えたSignal Studioスイートなど最新のKeysight設備を用い、あらゆる走査角度で30~300メートルという記録的なリンクを達成することができました。Rebeiz教授はこう続けています。「このすばらしいプロセスに対してタワージャズにお礼を申し上げるとともに、今後のコラボレーションを楽しみにしています」

現在、4G LTEでのピーク無線データレートは最大1Gbpsまで可能ですが、通常はそれよりも低く約100~300Mbpsです。タワージャズは今回、高容量H3テクノロジーを用いて設計されたUCSDの5G次世代モバイルデザインにより、これらの10倍を超える速度を示しました。

エグゼクティブディレクター兼タワージャズフェローであるDavid Howard博士は次のように述べています。「私たちはH5、H6、とテクノロジーノードの追加発表を続けていきます。これらは、さらに低ノイズのデバイスを備え、さらに高い速度性能を備えています。これらのテクノロジーにより、5Gの設計者は、より高いQAMを変調スキームとすることによるデータレートのさらなる向上や、チップサイズの縮小、通信距離の延長などを可能にするでしょう。また、複数の新機能をタワージャズのSiGeテラビットプラットフォームに加えることで、私たちは、迅速な市場投入に向けてお客様のテクノロジーを発展しやすくなるようにサポートします。これにより、当社のお客様は、5G規格の進化に合わせて、テクノロジーロードマップと製品を展開させることができます」

提供可能なプロセス
SBC18H3プロセス、およびH4、H5プロセスの情報は、タワージャズのウエブサイト(www.towersemi.com)から提供可能です。今回のテクノロジーデモに使用されたチップはUCSDで取り扱っています。UCSDの電子・コンピューターエンジニアリング学部のGabriel M. Rebeiz教授(858/336-3186またはrebeiz@ece.ucsd.edu)にお問い合わせください。

フェイズドアレイについて
フェイズドアレイは、各アンテナ素子の位相を制御することにより、高いアンテナ利得のアンテナビームを全方向へ制御可能にします。放射されたビームは、ビームの発生に用いられる各アンテナ素子の位相と振幅を制御することで完全に電子的に「空間で移動」させることが可能です。このビームステアリング技術は、アレイの機械的ステアリングと比較して大幅に小さく速いものです。さらに、位相アレイにより、放射パターンにおいて深いヌルを生成し、複数の異なる方向からのシグナルによる強い干渉を軽減することが可能です。これは1950年代から防衛分野で使用されており、現在は自動車(レーダー)および通信(5G)チップ市場に向けて商業的に高い関心が寄せられています。

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)について
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)は、ミックスドシグナル、マイクロ波、ミリ波RFIC、デジタル通信、応用電磁気学、RF MEMS(マイクロエレクトロメカニカル・システム)、ナノエレクトロニクス研究において世界トップレベルであり、Center for Wireless Communications(無線通信研究センター)の拠点でもあります。年間研究予算は8億5000万ドルを超え、同大学のジェイコブス・スクール・オブ・エンジニアリングは、2015年のUSニューズアンドワールドレポートランキングで17位に選ばれています。同校の電気・コンピューター工学部の教員数は46人で、年間約400人の大学院生を指導しています。詳細は、www.ece.ucsd.eduおよびwww.ucsd.eduをご覧ください。

タワージャズについて

タワーセミコンダクター株式会社 (NASDAQ: TSEM, TASE:TSEM)は、米国にある完全子会社ジャズセミコンダクター社とタワージャズテキサス社とともに、タワージャズというブランド名でグローバルに事業展開するスペシャルティファンドリのリーダーです。タワージャズは、集積回路を生産し、SiGe、BiCMOS、ミックスドシグナル/CMOS、RF CMOS、CMOSイメージセンサ、パワーマネージメント(BCDおよび700V)、MEMSなど、カスタマイズが可能なプロセス技術を幅広く提供しています。また迅速かつ正確なデザインサイクルを実現する世界クラスのデザインイネーブルメントプラットフォームを提供し、IDMやキャパシティ拡大を必要とするファブレス企業向けにはTransfer Optimization and development Process Services(TOPS)を提供しています。

複数のファブを使ってサービスを提供するために、タワージャズはイスラエルに2か所(150mmと200mm)、米国に2か所(200mm)のファブに加え、タワージャズが過半数の株式を保有するパナソニック社と設立したパナソニック・タワージャズセミコンダクター社TPSCoの日本の3拠点(200mmと300mm)のファブと連携しています。TPSCoを通じて、タワージャズは、最先端のイメージセンサ技術を含む、先端の45nm CMOS、65nm RF CMOSおよび65nm 1.12umピクセル技術の提供が可能となります。詳細はwww.towersemi.comまたはwww.tpsemico.com をご覧ください。

Contacts:

TowerJazz Investor Relations Contact:

Noit Levi | +972-4-604-7066 | noitle@towersemi.com

TowerJazz Company/ Media Contact:

Lauri Julian | +1-949-280-5602 | lauri.julian@towersemi.com

UCSD Contact

Prof. Gabriel M. Rebeiz | 858/534-8001 | rebeiz@ece.ucsd.edu